上野の東京都美術館で始まった「バベルの塔」展に行ってきました。大迫力のブリューゲル「バベルの塔」の巨大パネル、奇想天外なボスの絵も来日しています。実際に行ってみて分かった、いろいろな楽しみポイントをご紹介します。今話題の、グロかわいい(?)グッズもいろいろあります。
上野公園の東京都美術館で開催しています
場所は上野動物園のお隣に位置する「東京都美術館」。
会期は「2017年4月18日(火)〜7月2日(日)」です。ちなみに、5/17(水)、6/21(水)はシルバーデーなので大混雑が予想されるとのことです。
エスカレーターで地下1Fに行くと、入口があります。
入口を入って左に進むと、チケット売り場があります。チケットはウェブでも販売していますので、売り場で並ばなくて済むように、私は事前にウェブで購入しました。
チケットは下記よりウェブ購入できます。
http://www.e-tix.jp/babel2017/
入口周辺には多数のロッカーがありますので、荷物がある場合は利用すると便利です。
展示エリア内は写真撮影は禁止でした。ウェブチケットの場合は、バーコード面をスキャンするかたちで入ります。
入場口のパネル左横には、漫画家の大友克洋による「バベルの塔」の内部を空想したパネル展示があります。
音声ガイドは入場してすぐ左に受付があります。フリーアナウンサーの雨宮塔子、声優の森川智之が担当しています。利用料金は520円です。
展示会場は3フロアに分かれています
展示は地下1F→1F→2Fという順番で進みます。最初の展示室の入口にフロアガイドと展示品一覧を示したペーパーが用意されているので、それを参照すると構成がわかりやすいです。
地下1Fの展示はプロローグ
まずは、ネーデルラント美術というものの性格を知るために、15世紀からの宗教絵画や彫刻が展示されています。ボスやブリューゲルの登場に至るまでに、どのような環境があったのかということが理解できます。
フロア構成は、
「16世紀ネーデルラントの彫刻」
「信仰に仕えて」
「ホラント地方の美術」
「新たな画題へ」
となっています。
宗教画が中心なのでキリスト教の知識があるとより深く味わえると思います。単なる絵ではなく、礼拝対象そのものとして扱われていた作品群がずらりと並んでいて、荘厳な雰囲気が醸し出されています。このフロアの壁は真紅に統一されていて、絵画の神秘性を高めています。
1Fは奇想の画家「ヒエロニムス・ボス」が登場
エスカレーターで1Fに進むと、いよいよ奇想の画家ボスの絵が登場です。ボスの絵は人々の罪を戒めるような、グロテスクな魑魅魍魎が描かれているのが最大の特徴です。現存する本物と認められた作品は世界で25点しかありません。そのうちの2点が今回来日しています。
ボスの作品1点目は「放浪者」(1500年頃)です。娼館に未練を残しつつ旅立つ旅人を描いています。これはもともと3連の扉絵で、「放浪者」はフタに当たる部分だそうです。残りの2つの部分は失われています。
ボス以前の絵画は、聖書に登場する聖人や歴史上の偉人などが主に描かれていましたが、ボスは名も無い人々の日常の姿を描きました。庶民の日常と宗教的戒めをリンクさせたかたちが斬新だと思います。
ボスの作品2点目は「聖クリストフォロス」(1500年頃)です。こちらは従来の宗教画的な聖人像です。「クリストフォロス」とは「キリストを背負う者」という意味で、背負われている子供はキリストです。
この絵はよく見ると、細部のあちこちに不思議なものが描かれています。猟師に捕らえられて木に吊された熊、花瓶の中で暮らす男、廃墟の中のモンスター。それぞれに宗教的意味が隠されています。ボスの爆発する想像力の一片を感じることのできる作品です。
ピーテル・ブリューゲル1世 「大きな魚は小さな魚を食う」(1557年)
ボス以後、ボスの作風を真似る画家がたくさん現れ、フロアの後半にはそうした模倣された作品群が並んでいます。ボスの死後に人気が爆発したため「ボス・リバイバル」と呼ばれています。ボスの絵の魅力がいかに大きかったかわかります。ブリューゲルもボスの絵画に影響を受けた一人で、このフロアの後半には、様々な版画作品が展示されていて、だんだんとブリューゲルの世界へと引きこまれていく構成になっています。
このフロアの構成は、
「奇想の画家ヒエロニムス・ボス」
「ボスのように描く」
「ブリューゲルの版画」
となっています。
2Fは「バベルの塔」が遂に出現!
エスカレーターで2Fに上ります。するといきなり大迫力の「バベルの塔」の巨大パネルが現れます。「バベルの塔」の絵画は予想以上に小さいので、細部をよく理解するためにはやはり巨大なパネルが必要です。バベルの塔建設のために働く人々の姿がよくわかります。(画像はプレス公開時)
フロアの奥に進むとブリューゲルの傑作絵画「バベルの塔」(1568年頃)が展示されています。さすがにメイン作品なので、ここの人だかりが凄いです。混雑時には近くに寄れないこともあるかもなので、単眼鏡などが必要かもしれません。今回もそういったもので見ていた人がいました。
ちなみに「バベルの塔」の絵画は2つあります。1つはウィーン美術史美術館所蔵の「大バベル」、もう1つは今回来日しているボイマンス=ファン・ブーニンゲン美術館所蔵の「小バベル」です。大と小と呼ばれているのは絵画のサイズのことです。今回は小さいほうの「バベルの塔」が来ているのですね。
フロアには映像シアターも併設されています。約7分間の「バベルの塔」に関する資料映像が流されています。場内には多くの長椅子が設置されていますが、かなり混雑しているので立ち見を覚悟したほうがよいかと思います。
フロアには東京芸大のチームがオランダ芸術科学保存会と連携して制作した高精細複製画も展示されています。3DCGモデルなどを使って描かれているので細部までくっきりと描かれています。この制作については「東京藝術大学 Arts & Science LAB.1Fエントランスギャラリー」でも展示が行われています。詳細はこちらです。
特設ショップは面白いグッズでいっぱいです!
展示はここまでで、最後に「特設ショップ」コーナーがあります。まず目に飛び込んでくるのは、高々と積み上げられた「バベルの塔」ハンドタオル。まさに「バベルの塔」ですね。
今回は、グロかわいい(?)と人気の、ボスやブリューゲルのグッズが目立ちます。ブリューゲルの絵に登場する足の生えた魚は、どうやら「タラ夫」という名前で呼ばれていてイチオシのようです。フィギュアやストラップなど様々なグッズがありました。
変わったグッズをいくつかピックアップしますと、まずは「エッグスタンド」。足の生えた魚をはじめ、いろいろなグロかわいいモチーフが描かれたものが何種類もあります。1個550円です。
バベルの塔の「スノードーム」もありました。バベルの塔に雪が降るとはなかなか幻想的です。780円です。
お菓子系もいろいろありますよ。これは「バベルの塔かりんとう」です。買ってみましたが、中身は普通のかりんとうでしたね。パッケージだけが「バベルの塔」のようです。432円です。
こちらは「空飛ぶ魚 金太郎アメ」です。例の「タラ夫」が金太郎アメにされています。正直この発想は無かったです。いちごミルク味で432円です。
もちろん図録も販売しています。「バベルの塔」原寸大ポスター付で2500円です。
お楽しみスポットもありました!
不思議な記念撮影スポット発見!
グッズコーナーを後にすると、窓際に休憩できる長椅子エリアがあります。その片隅に巨大な「タラ夫」のぬいぐるみがいます。足のすね毛まであって、グロかわいいモード全開です。記念撮影する人も多かったです。
エスカレーターをひとつ降りると、やはり休憩コーナーがあります。窓にはいろいろなグロかわいいキャラが貼られていますが、その先に「バベルの塔」と一緒に記念写真が撮れるコーナーがあります。東京タワーや通天閣との高さ比較もあって、「バベルの塔」がいかに大きいものかがわかります。
カフェ・レストランもあります
東京都美術館には、休憩に最適なカフェやレストランも併設されています。
1Fに「カフェアート」「レストランサロン」、2Fに「レストランミューズ」があります。金曜は20時まで営業しています。
混雑状況は公式ツイッターでチェック!
展覧会公式ツイッターが、その日の混雑状況をお知らせしてくれます。ゴールデンウィーク期間中などはチェック必須ですね。
24年ぶりに来日したブリューゲルの「バベルの塔」。いろいろ楽しい発見もありますので、ぜひ足を運んでみてください。
ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展公式ガイドブック (AERAムック)
- 作者: 朝日新聞出版
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/04/07
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