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【国宝・曜変天目】奇跡の名品大集合!「茶の湯」展に行って分かった必見ポイント【利休・織部】

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東京国立博物館、実に37年ぶり「茶の湯」特別展です。何年も前から準備され、ようやく開催に至った奇跡の展覧会です。国宝の曜変天目をはじめ、信長・秀吉など天下人の名品、千利休、古田織部などが愛した道具の数々が一堂に会しました。一生に一度見られるかどうかという名品もあるので、さっそく会場に足を運びました。GWを控え、大混雑が予想されますが、見逃せない必見ポイント・関連イベントなどをご紹介します。

 

上野・東京国立博物館にて開催中です

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上野公園にある東京国立博物館の平成館にて開催しています。
平成館の場所は、正面入口を入って、左奥に進んだところにあります。

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特別展「茶の湯」の入場料は一般1600円、大学生1200円、高校生900円です。なんと「きもの割」があります。茶の湯っぽいですね。着物を着てくると100円引きになります。チケットはウェブでも購入できます。

特別展「茶の湯」|オンラインチケット

「茶の湯」展の会期は、2017年4月11日(火)〜6月4日(日)です。
開館時間は、9時30分〜17時です。金曜・土曜は21時まで。ゴールデンウィーク(4/30、5/3〜7)は21時まで開館しています。休館日は月曜です(5/1は開館)。

音声ガイドは落語家・春風亭昇太

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平成館の正面エスカレーターを2階に上がると、展覧会入口があります。入口では音声ガイドを貸し出ししています。音声ガイドの声は落語家の春風亭昇太です。利用料は520円です。

会場は第1・2会場に分かれています

まずは向かって左側にある第1会場から入場です。場内は基本的に写真撮影禁止です。メモ書きをする人は、入口で専用の鉛筆を貸し出していますので、それを使って筆記してください。自前のボールペン等で書いていると注意されます。

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5つに構成された作品群

①足利将軍家の茶湯〜唐物荘厳と唐物数寄

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玉澗「廬山図」南宋時代(13世紀)

最初に展示されているのは、室町時代の足利将軍家に集められた名宝の数々玉澗・牧谿など南宋の名画がずらり並んでいます。茶席の掛け軸として使われるため、「廬山図」のように適当な大きさにカットされているのが特徴です。会期中、作品の入れ替えが行われますので、作品リストを注意して見てください。

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チラシでも紹介されている国宝「青磁下蕪花入」もこのコーナーにあります。13世紀頃の中国の磁器の中でも最高峰のものです。

国宝「曜変天目」の展示は5月7日まで

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このコーナーで最も混雑しているのが、国宝「曜変天目」です。テレビの「開運!なんでも鑑定団」ですっかり有名ですね。今回は二子玉川にある「静嘉堂文庫美術館」から出品されました。これは会期中ずっと展示されているわけではなく、5月7日までの限定展示ですのでご注意ください。

②佗茶の誕生〜心にかなうもの

15世紀末に町衆によって生み出された「侘茶」。開祖と言われる珠光、そして中興の祖である武野紹鷗の名品が展示されています。

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中でも必見なのは、天下三肩衝のひとつ重要文化財「唐物肩衝茶入 銘 初花」でしょう。13〜14世紀の中国で作られ、楊貴妃も油壺として使ったと言われている伝説の名品です。日本に渡ってからは、足利義政〜織田信長〜徳川家康〜豊臣秀吉と渡り、再び家康の手の元へ。以来、徳川家の名宝として受け継がれてきました。この初花、なんと4月23日(日)までの展示です。ぜひこの機会に実物を。

③佗茶の大成〜千利休とその時代

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重要文化財「黒楽茶碗 銘 俊寛」長次郎(16世紀)

ここからは第2会場です。平成館2Fの向かって右側が第2会場です。第1会場だけでも分量が多いので、時間が限られている方は時間配分に注意したほうがいいかもしれません。

日本の茶の湯を確立した千利休と古田織部をはじめとした弟子たちの名品が、このコーナーに集まっています。まさに名品の揃い踏み。じっくりと鑑賞してください。

マンガ「へうげもの」に登場した名品たち

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利休と織部と言えば、マンガ「へうげもの」(山田芳裕)ですね。「へうげもの」に登場した名品たちが揃っているので、思わずマンガの場面を思い出してしまいます。

織部が切った「流れ圜悟」

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「印可状 虎丘紹隆宛(流れ圜悟)」。12世紀、宋代禅林の巨匠・圜悟克勤による印可状です。伊達政宗と分け合うために古田織部が分割したと言われています。現存するのは織部が持っていた後半部分です。

f:id:seitenugetsu:20170422025227j:plain(「へうげもの」20巻より)

マンガでは、一字はみだした「透」の字の部分をわずかに切って捨てるという芸当を見せています。現物の「透」の切れ具合をぜひ見てください。この「流れ圜悟」も4月23日までの展示です。

秀吉にも渡さなかった茶壺「橋立」

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千利休は秀吉の怒りを買って切腹に追い込まれるのですが、秀吉との仲が悪くなった原因のひとつと言われているのが、今回展示されている茶壺「橋立」です。足利将軍家から信長へ、そして利休の元へ来た名品中の名品です。

 

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(「へうげもの」8巻より)

マンガでも描かれていますが、何度も秀吉に譲れと言われましたが、頑として聞かず、身の危険が迫る中、最後は大徳寺聚光院に預け「御渡しなさるまじく候」と伝えます。まさに利休の魂ともいえる名品です。

織部の最高傑作「破袋」

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古田織部は、常識を破る造形を茶道具・茶室で追求しました。歪んだかたち、不思議な文様など、その精神は今も受け継がれています。中でも伝説的な名品は「伊賀耳付水指 銘 破袋」です。桃山時代の伊賀焼で、焼く際に底部がへたったために、歪んで大きく割れています。

f:id:seitenugetsu:20170422031541j:plain(「へうげもの」21巻より)

マンガでも描かれていますが、皆が失敗と思った中、織部は「今後これほどのものはないと思う」と述べたと言います。織部の真骨頂とも言うべき名品です。

利休の愛した長次郎の名品がずらり

利休と言えばやはり楽焼「長次郎茶碗」を抜きにしては語れません。今回、伝説の名品がずらり勢揃いしています。

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重要文化財「赤楽茶碗 銘 無一物」

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重要文化財「黒楽茶碗 銘 ムキ栗」

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重要文化財「黒楽茶碗 銘 俊寛」

「赤楽茶碗 銘 無一物」は5月7日までの展示になります。

 

織部の茶室「燕庵」が実寸大で再現

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利休の茶室「待庵」と並んで有名な、織部の茶室「燕庵」。利休の茶室とはひと味違う独創性に富んだものになっています。今回、会場内に実寸大で「燕庵」が建てられています。屋根がなぜか白くて発泡スチロールみたいに見えます。ここだけは写真撮影可能です。

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内部も再現されています。

④古典復興〜小堀遠州と松平不昧の茶

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「丹波耳付茶入 銘 生野」(17世紀)

「燕庵」を抜けると、江戸時代の茶の湯の世界です。この時代を代表する人と言えば、小堀遠州です。作庭師として有名ですが、茶の湯を現在の「きれい」なものへと進化させた人物です。

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「色絵若松図茶壺」野々村仁清(17世紀)

小堀遠州とともに同時期に活躍した、京焼の名工・野々村仁清の名品も並びます。このコーナーでは、江戸時代後期の茶人、松江藩主の松平不昧の道具も展示されています。

⑤新たな創造〜近代数寄者の眼

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重要文化財「志野茶碗 銘 広沢」(16〜17世紀)(益田鈍翁コレクション)

幕末以降、近代の四人の数寄者(趣味人)のコレクションを集めています。実業家たちのそれぞれの趣味がわかる展示になっています。

期間中、下記の予定で、四人のコレクションが入れ替わります。

藤田香雪:4月11日(火)~4月23日(日)
益田鈍翁:4月25日(火)~5月 7日(日)
平瀬露香:5月 9日(火)~5月21日(日)
原 三溪:5月23日(火)~6月 4日(日)

「茶の湯」ゆかりのグッズも充実!

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展示を抜けると、2Fロビーにはグッズコーナーがあります。「茶の湯」展図録をはじめ、ポストカードやお菓子、実際の茶碗なども購入できます。

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銀座・南青山の和菓子店「HIGASHIYA」のオリジナルお菓子やおせんべいもあります。

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「奉天」はこの「茶の湯」展限定のお菓子です。棗の容器に入っていておしゃれです。864円です。

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ポストカードは、茶碗のかたちになっていて面白いです。

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図録は、シックな黒一色の装丁です。2800円です。レジにて販売しています。

各種イベントもいろいろ開催!

会期中、様々なイベントが予定されています。

呈茶席

各流派による呈茶席があります。
時間:11時〜15時頃
会場:平成館ラウンジ
料金:500円(菓子付)
受付:当日受付(9時半より茶券販売)

スケジュール
4月18日(火)表千家不審菴(担当:表千家同門会東京支部)
4月20日(木)武者小路千家官休庵(担当:東京官休会)
4月21日(金)藪内燕庵(担当:古儀茶道藪内流竹風会東京支部)
4月22日(土)江戸千家宗家蓮華庵
4月23日(日)東京藝術大学(担当:東京藝術大学裏千家茶道部)
4月25日(火)大日本茶道学会(担当:大日本茶道学会本部教場)
4月27日(木)江戸千家
4月28日(金)遠州茶道宗家
4月29日(土)茶道宗徧流不審庵(担当:茶道宗徧流不審庵関東地区)
4月30日(日)裏千家今日庵(担当:茶道裏千家淡交会関東第一地区)

茶室「転合庵」公開

小堀遠州ゆかりの茶室「転合庵」を特別に公開(東京国立博物館 庭園内)。
期間:4月11日(火)〜5月7日(日)
時間:10:00〜16:00

講演会・シンポジウム

講演会:「茶の湯の魅力-日本、朝鮮、中国のやきものを中心に」
日時:5月13日(土) 13:30〜15:00(13:00開場予定)
会場:東京国立博物館 平成館 大講堂
講師:三笠景子(東京国立博物館東洋室主任研究員)
料金:無料
受付:当日受付。当日11:30より大講堂前にて指定席券配布

シンポジウム:「茶の湯を語る―ヒトから、モノから」
日時:5月21日(日)13:30〜16:00(13:30開場予定)
会場:東京国立博物館 平成館大講堂
基調講演:赤沼多佳(三井記念美術館参事)
パネリスト:田中仙堂(大日本茶道学会会長)、塚本麿充(東京大学准教授)、橋本 雄(北海道大学大学院准教授)、三笠景子(東京国立博物館主任研究員)
司会:伊藤嘉章(九州国立博物館副館長)
料金:無料
受付:当日11:30より大講堂前にて指定席券配付

落語会

毎日新聞落語会「茶の湯」寄席
日時:5月17日(水)13:30〜14:30(13:00開場予定)
会場:東京国立博物館 平成館大講堂
演目:桃月庵白酒『井戸の茶碗』
司会:毎日新聞学芸部記者 濱田元子
料金:無料
受付:当日11:30より大講堂前にて指定席券配付

詳しくは、公式サイトにイベントカレンダーがありますのでチェックしてください。

無料シャトルバスも運行!

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竹橋の東京国立近代美術館では「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」が開催中です。東博と近代美術館を無料で繋ぐシャトルバスが運行しています。いずれかの展覧会チケットを持っている方なら誰でも乗れます。
定員:50人
所要時間:30分
運行期間:4月11日(火)〜5月21日(日)

運行時刻
東京国立博物館発    10:30 11:30 13:30 14:30 15:30
東京国立近代美術館発  11:00 12:00 14:00 15:00

期間中、作品の入れ替えがあります!

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展示作品は、期間中に何度か入れ替えがあります。お目当ての作品がいつまで展示なのかチェックする必要があります。作品リストに展示期間が掲載されていますので、参照してください。余談ですが、この写真に写っている説明パネルですが、英語説明のところの表記がなぜか「Cyanoyu」になってますね。上の大タイトルのところは「Chanoyu」なんですが。図録での英語表記は「Chanoyu」です。変えているのは何か意味があるのでしょうか?

奇跡の特別展「茶の湯」。ぜひこの機会に御覧ください。

和樂 2017年 4・5月号 [雑誌]

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